2015年4月5日日曜日

考えることの大切さ②

 ここ数か月、公私にバタバタとしておりまして、すっかりブログ更新を怠ってしまいました。
 さて、前回に引き続き「考えることの大切さ」について個人的な意見を書きたいと思います。


 ここ数日、朝日テレビの報道ステーションの古賀さん問題でマスコミがざわついでいるようです。古賀さんの生放送を利用したあのやり方に非難がかなりあるようですが、古賀さんとしてはあそこまやって国民に伝えなければ、真実が国民に明かされないままじわじわとおかしな方向に行ってしまうことに、危機感と憤りを感じての行動であったと私は感じました。


 菅官房長官は圧力に関し完全否定、事実無根といい放ち、それにさらに突っ込む記者もいない。案の定、翌週からの報道ステーションのコメンテーターはがらりと様変わりしていました。恵村さんというほとんど毎日コメンテーターを務めていた方も、いなくなっていました。彼は言い方がソフトなだけで、ほぼ古賀さんと似た意見をお持ちの方とみていましたので、やはり、という感想です。


 このように今まで骨太に政府に対して意見してきたテレビ朝日までが、この言論統制に屈してしまった。いよいよ恐ろしい時代になりつつあることを、国民のどれだけの人が気付いているでしょうか?一昨年、NHKの籾井会長が指名された時点で、その兆しは十分あったのですが。NHKといえばやはりこの春の改編で9時のニュースの大越キャスターが退くに至りました。残念です。


 
 戦前戦中戦後にわたり国会議員を務めた牧野良三が終戦直後に友人に送った手紙が発見されたと以前中日新聞で読みました(2014/8/10)
一部記事を抜粋します。


『太平洋戦争に突入する先駆けともなった三八(昭和十三)年、国家総動員法案が上程された国会で、牧野は政府に対して「危険至極な立法」と指摘し「立法の形式を擬装して憲法を蹂躙(じゅうりん)するものである」などと、厳しくただした。

 生前の公での発言や、手帳に残したメモをもとに後世、まとめられた本『牧野良三』(六二年発行)を読み進めると、このころを振り返る興味深い章がある。反軍演説をするたびに繰り返された世間の反応を記したくだりだ。

 「二、三日の間は、新聞記者や友人知己が盛んに訪ねてくる、喜びの電報がくる、手紙がくる、大変な人気者になり、英雄になるわけだ。ところが警察官が来て三、四日もすると、もう駄目だ、パッタリ淋しくなってしまう。そうして五、六日も経つと、打って変わって私の除名運動がひそひそと相談される」


 「これはどういうことかというと、国民は、心の底では軍部の専横を苦々しく思っているのだけれども、一寸(ちょっと)圧迫が加わって来ると、皆逃げ腰になり、次には迎合を始め、しまいには軍部勢力に便乗して何かうまい汁にありつこうとする。まことになさけない有り様だが、それが当時の時代風潮で、そういう気分が充満していたということなんだ」(同)』


 牧野氏自身、結局は戦争を止めることはできず、自分の無力さを悔いての手紙だったのでしょう。


 まさに今、このようなことが始まっていることにどれだけの人が気付いているだろうか。あるいは気づかないふりをしているのだろうか?
 安倍政権が発足して以来、政府が進めている、または既に施行されている数々の法案がどんなに恐ろしいことにつながっているか、アベノミクスの恩恵と自分が関係ないように、それらのことも自分とは関係ないと思っているのか?
そうだとしたら、大きな間違いである。そういう恐ろしい付けが回ってくるのは普通の国民なのである。当の政府の関係者や、早くから結託している大企業などには負の部分は回ってこない。


 覇権国家、列強・・・・「我が軍」と失言してしまっている首相の頭の中がすでにそうなっているから、つい口をついてでてくるのだ。まさか、と笑う人たちも多いと思いますが、要は、人間の生まれ育った環境で長年培われてきた個人的な思想・信条というものを無理やりで実現してしまおうということなのである。おそらくそれだけなのだ。そんなものに国民が戦後70年守り続けた平和を奪われようとしているのです。


 80代、90代の戦争を経験している人はみなさん口をそろえて危機感を持っていらっしゃいます。私たちは戦争を体験していませんが、今外国のそこかしこで繰り広げられている悲惨な事態に想いをはせ、考えてみる必要があるのではないでしょうか?想像力です。


 特に考えていただきたいのは、若者です。本当に他人事と考えている人が多い。若者の正社員がどんどん少なくなり派遣やアルバイトが大きな割合を占めています。そんな人たちも「しょうがない」と言うだけで、自分の考えをしっかり持っている人は本当に少ない。60年代の学生運動を肯定するつもりはありませんが、そのように国や社会に対して
憤慨し、語り合うような若者がどれだけいるでしょうか?


 今、マスコミまでもが言いたいことを言えないような風潮になってきている。マスコミにはどうか踏ん張ってもらいたい。
 まだ間に合うと思うのです。
 そして私たち一人一人が想像力をもって、いま行われていること、報道されていることについて自分自身で考えることが何よりも大切なのではと思います。


 子供たちにも、自分で考えることを身につけてもらいたい。例えば学校などでのいじめ。生徒たちも教師もいじめられている人の立場になったつもりで少しの間目を閉じて想像してみてください。その悲しみが少しは感じ取れるでしょうか?強いものに迎合するだけの集団は、子供の世界も大人の世界も、その先は自滅しかありません。


 そうならないためにまず、私たち大人が「考える人」できれば「行動できる人」にならなければと、自戒をこめて微力ながら発信します。